[アップデート] #VMwareExplore2023 VMware Cloud on AWSに関する発表まとめ
こんにちは、AWS事業本部の荒平(@0Air)です。
ラスベガスで開催中のVMware Explore 2023というイベントにて、VMware Cloud on AWSに関する新機能が発表となりました。
私は現地ではありませんが、以下の公式アップデートブログを元に情報整理したいと思います。
発表されたものまとめ
- VMware Cloud on AWS: Advanced subscription tier
- 「アドバンスドサブスクリプションティア」が発表されました。主にAria製品群(Aria Automation, Aria Operations, Aria Operations for Logs, Aria Migration[30日トライアル])と、高度なファイアウォール機能、NSX+ Policy Managementが含まれます。
- i3en, i4iのインスタンスタイプにて利用可能
- 現行のVMware Cloud on AWS価格と同じ
- AWS商流の場合でも利用可能
- Enhancements in Networking
- 「VMware NSX+」が発表されました。NSXのフルマネージド型ネットワーク・セキュリティ・ロードバランシングサービスです。SaaSでの提供。
- アプリケーションの包括的な可視化、マルチクラウドのセキュリティ強化が図れる
- Enhancements in Storage
- 「vSAN Express Storage Architecture」の導入が発表されました。これにより、VMware Cloud on AWSに利用される高性能ストレージでは、最大4倍のパフォーマンス向上、最大4倍の圧縮が可能となるようです。
- i4iのインスタンスタイプにて利用可能
- 「VPC Peering for external storage」が発表されました。従来Amazon FSx for NetApp ONTAPを外部ストレージとして利用する際は、VMwareマネージドのTransit Gatewayを接続する必要があったのですが、この必要がなくなります。
- ストレージとSDDCを同一リージョンにシングルAZデプロイする必要があり、同一AZだとAZ跨ぎの通信料が掛かりません。SDDC v1.20以降で利用が可能
- Disaster and Ransomware Recovery
- 「VMware Ransomware Recovery」に機能強化が発表されました。これにより、最大50台の仮想マシンを同時に検査・管理・リカバリすることができるようになりました
- Google Cloud VMware Engine (GA), VMware Cloud on AWS Outposts (Preview)の対応
- VMware Aria Migration (Free 30-day Trial)
- 「VMware Aria Migration」に機能強化が発表されました。
- Planning(計画) と 移行ウェーブの作成
- VMware Cloud on AWS, オンプレミスのネットワークコスト計画
ひとつずつ見ていく
(1) VMware Cloud on AWS: Advanced subscription tier
はい、これは今回の目玉アップデートですね。これまではVMware Ariaといえば、基本的に追加料金を支払って利用する製品群だったのですが、これからはVMware Cloud on AWSの利用料に含まれるようになります!
よくある質問にも記載があるのですが、弊社を経由したAWS商流でもこの恩恵を受けることができます。嬉しい!!
2023年11月3日までにリリースされる予定で、リリース以降に新規でデプロイされたSDDCが対象のようです。
インスタンスタイプがi3en, i4i限定となっていますが、i3は既に新規購入できなくなっているので問題なさそうです。
手続きの方法など判明したらまたまとめたいと思います!
このアップデートに関する原文は以下をご参照ください。
(2) Enhancements in Networking
vSphere+, vSAN+に次ぐ、NSX+の製品発表がありました。
プラスの名を冠するサービスは、マルチクラウド対応、サブスクリプションでの課金体系になっているので、VMware NSXに関しても、機能強化と共にプラスがリリースに至ったと考えられます。
また、同時に VMware NSX+ Advanced Load Balancer Cloud (ALB) Controller も発表されてました。VMware Cloud on AWSで利用できるアプリケーション認識型のロードバランサーのようです。
今はもうネットワークコンポーネントがアプリケーションの面倒も見れる時代なんですね。
このアップデートに関する原文は以下をご参照ください。
(3) Enhancements in Storage
「vSAN Express Storage Architecture」および「VPC Peering for external storage」の発表がありました。
まずは前者ですが、vSANストレージのアーキテクチャ(vSAN ESA)導入による、単純な性能強化がありました。
NVMeに最適化され、最大4倍のパフォーマンス向上、最大4倍の容量圧縮、最大40%のTCO圧縮と素晴らしい内容です。
この利用にはインスタンスタイプがi4iである必要があります。手続きで何かが必要かは読み取れなかったので、利用に申請などが必要であればまたまとめたいと思います。
そして後者「VPC Peering for external storage」です。
これはVMware保有のSDDC VPCと顧客のVPCをVPC Peeringすることができるようになり、これまでAmazon FSx for NetApp ONTAPにはVTGWが必須だったところ、不要になるため料金がグッと下がります。
ただし、注意書きにもありますが、現時点ではシングルAZ構成でしかサポートされませんのでご注意ください。
VMware公式ブログより抜粋
this connection is exactly what our customers have been asking for.
なお、文中に上記の文言(この接続はまさにお客様が求めていたもの)とありますが、これは私も求めていました。嬉しいアップデートです。
このアップデートに関する原文は以下をご参照ください。
https://blogs.vmware.com/cloud/2023/08/22/introducing-vpc-peering-for-external-storage/
(4) Disaster and Ransomware Recovery
「VMware Ransomware Recovery (for VMware Cloud DR)」を利用した際の機能強化が発表されました。
ランサムウェアに感染した仮想マシンの一括処理がサポートされ、一度に50台の検証・復元が可能です。
また、単一のランサムウェア回復プランには500台登録することができるようになりました。
ランサムウェア感染によるダウンタイムを減らせそうです。
VMware Ransomware Recovery ワークフローとネイティブvSANスナップショットの機能が統合され、リカバリの処理が迅速で実行できるようになりました。(現時点ではプレビュー版 : Cybersecure Storage)
なお、リカバリ後は元のデータストアにStorage vMotionせず、クラウドファイルシステム(DR Site : Recovery SDDC)のディスクを利用して仮想マシンを実行するようになりました。
ランサムウェア感染後は、フォレンジック作業も必要なためこれも嬉しいですね。
このアップデートに関する原文は以下をご参照ください。
(5) VMware Aria Migration
「VMware Aria Migration」の計画されているアップデートが発表されました。
現時点で、この製品は30日のフリートライアルを受けることができます。
移行ウェーブの作成はAWS Migration Hubのような移行計画を立てるツールの理解ですが、ここはおそらく開発中で情報が少なかったので続報に期待したいです。
次の四半期でリリース予定
個人的に気になっているリリース予定のものを紹介します。
- VMware Aria Automation Orchestrator
- vRealize Orchestratorを思い出しました。ワークフローの自動化が可能な製品のようです。
- VMware Cloud Sizerのアップデート
- 前述のvSAN Expressストレージアーキテクチャで試算ができるように
- Amazon FSx for NetApp ONTAP, VMware Cloud Flex Storageのサイジングがサポート
- VMware Aria運用データのインポート・処理がサポート
- VMware HCXの機能強化 (VMware HCX 4.7)
- vSAN 8 Express ストレージ アーキテクチャ (ESA)のサポート
- リリースノート
おわりに
新しいアップデートが大量に発表され、調べつつ、楽しみながら執筆しました。
特に機能強化や料金の最適化アップデートがあり、VMware Cloud on AWSの今後には目が離せません!
このエントリが誰かの助けになれば幸いです。
それでは、AWS事業本部 コンサルティング部の荒平(@0Air)がお送りしました!